考古遺物については、金属遺物に付着していた有機遺物の痕跡が話題となった。鉄などの金属遺物に、布などの有機性遺物の痕跡が錆の形などにより残されていることがある。これは、考古学的に極めて重要な情報であり、詳細に調査することによって、有機遺物に関する多くの貴重な情報が得られる。従来の保存修復処理方法では、クリーニングや錆取りなどによって、これらの痕跡は消失してしまうわけで、発掘時の詳細な観察と、発掘後の保存処理前の多方面からの詳細な調査、分析、検討、考察が必要である。そのためには、種々の専門家間のネットワークの構築が極めて重要である。